Netflixドラマ『九条の大罪』を観ていて、ある場面で思わず手が止まりました。
将来に思い悩む20代の女性に、主人公の九条弁護士がそっと差し出す一冊の本。それが『星の王子さま』でした。
「あ、この本か」と思った瞬間、小さい頃に読んだあの記憶がふわっと蘇ってきました。子供のころは「不思議な話だな」と感じた程度だったのに、大人になってから読み返すと、まったく違う顔を見せてくれる本でした。
『星の王子さま』ってどんな本?
飛行機が故障して砂漠に不時着した「僕」が、遠い小さな惑星からやってきた王子さまと出会う物語です。
王子さまはさまざまな星を旅して地球にやってきました。それぞれの星には、権威にこだわる王様、人に褒められることしか求めない男、数を数え続けるビジネスマン……大人たちが暮らしていて、王子さまはそのたびに首をかしげる。
「大人って、不思議だな」と。
サン=テグジュペリが書いたこの本は、子ども向けの童話に見えて、実は大人に向けて書かれた寓話です。読むたびに、刺さる言葉が変わる。そこがこの本の底知れない魅力だと思います。
九条弁護士がこの本を贈った理由(考察)
ドラマの中で、九条弁護士がなぜこの本を選んだのか、明確な説明はありません。でも、読み返してみて、ひとつ腑に落ちることがありました。
この本でもっとも有名な言葉があります。
「大切なものは、目に見えない」
目に見える「お金」や「損得」「地位」だけで動く世界に疲れていた彼女に、九条弁護士は言いたかったのではないでしょうか。「あなたが本当に大切にしたいものは、数字では測れないところにあるんじゃないか」と。
直接言葉で諭すのではなく、一冊の本を手渡す。その選択がまた、いかにも九条らしいと思いました。
大人になってから読んで刺さった3つの言葉
①「きみのバラがかけがえないのは、きみがそれに費やした時間のせいなんだ」
王子さまのバラは、宇宙中に5000本あるバラとまったく同じ見た目をしています。それでも王子さまにとってのバラは特別な一本。なぜか。
それは、水をやり、風よけをして、話しかけて、時間を注いできたから。
仕事でも人間関係でも、「替えのきくもの」「効率的なもの」を選び続けていると、いつの間にか「かけがえのないもの」を失っていることがある。この一節に、大人になってからの方が深く刺さりました。
②「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない」
サン=テグジュペリが本書の冒頭で書いた言葉です。
サラリーマンとして働いていると、いつしか「現実的に考えよう」「リスクを取るな」という声が自分の中で大きくなっていきます。子供のころに感じていた「なんで?」「面白そう!」という純粋な好奇心が、知らないうちに薄れていく。
この言葉を読んで、少しだけ恥ずかしくなりました。
③「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない」
キツネが王子さまに教えるこの言葉が、今の自分にはいちばん響きました。
データや数字、評価、効率。そういうもので物事を判断することに慣れすぎると、「これは自分にとって本当に大事なのか」という感覚が鈍くなっていく気がします。
心で見る、という感覚を取り戻すために、この本はとても良い処方箋になりました。
今日からできるアクション
- 手元に一冊置いておく
短い本なので、疲れたときや迷ったときにさっと読み返せます。新潮文庫版は薄くて持ち歩きやすいのでおすすめです。 - 「自分のバラ」を書き出してみる
自分がこれまで時間を注いできたもの、大切にしてきたものを改めてリストアップしてみる。それを振り返るだけで、今の優先順位が整理されることがあります。 - 子どもだったころの「好き」を思い出す
何も考えずに夢中になっていたこと、楽しかったこと。今の自分から遠ざかったものの中に、意外と大事なヒントが眠っています。
まとめ
『星の王子さま』は、子どものころに読んだ記憶はあっても、大人になってから読み返したことがない人が多い本ではないでしょうか。
九条の大罪でこの本に出会い直したことで、「もう一度ちゃんと読んでみよう」と思えたのは、ドラマの大きな贈り物だったと感じています。
将来に迷っている人、損得だけで動くことに疲れた人、「大切なもの」を見失いそうになっている人に、静かに手渡したい一冊です。



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