サラリーマンをしていると、ふと自分の年収の天井がなんとなく見えてくる瞬間があります。
「このまま真面目に働き続けたとして、いったいいくらになれるんだろう?」そう考えたとき、なんとも言えない閉塞感を感じたことはないでしょうか。昇進しても、残業を増やしても、「年収1,000万円の壁」はなかなか超えられない。ましてや億など、別世界の話だと思っていました。
私もそんなことを漠然と考えていた頃、YouTubeで田中渓さんの動画をよく見るようになりました。半年ほど前から急にたくさん出てくるようになって、最初は「どんな人だろう」と軽い気持ちで見ていたのですが、話の内容が刺さってしかたない。気づいたら何本も見ていて、ついに本まで買ってしまいました。
それが今回ご紹介する『億までの人 億からの人』(田中渓 著)です。
この本は「億を稼ぐマインドの地図」だった
田中渓さんは、ゴールドマン・サックスに17年勤務した投資家。サラリーマンとして働きながら、投資と思考の積み重ねで億の資産を築いてきた方です。
本のタイトルの「億までの人」と「億からの人」という言葉が、まず気になりませんでしたか? 私はこのタイトルを見た瞬間に「あ、これは自分のことだ」と思いました。「億までの人」=億を夢見ているけど届かない人、「億からの人」=億を出発点として、さらに積み上げていく人。そのふたつの差が何なのか、どうすれば後者になれるのか、が書かれているのです。
読み終えた今、この本はいわば「億を稼ぐ人のマインドの地図」だと感じています。お金を稼ぐためのテクニック本ではなく、どう考え、どう生きるかという「思考の土台」を丁寧に解説してくれている一冊です。
気づき① サラリーマンには「生涯年収」が存在する
本を読む前から「サラリーマンの生涯年収」という言葉は耳にしたことがありました。でも、田中さんの言葉を通じて、その意味がより具体的にわかった気がします。
サラリーマンとして真面目に働いていれば、ある程度の年収まではたどり着けます。しかし、そこから先は「会社の評価制度」「業界の給与水準」「年功序列の壁」というものが立ちはだかり、自分の努力だけではどうにもならない天井が生まれてくる。
私自身、社会人になってからコツコツと働いてきましたが、30代を過ぎたあたりから「このペースで上がっていっても、50代でいくらになるか大体わかるな」と感じるようになりました。それが嫌だとか、会社が悪いとかではなく、ただ「構造としてそうなっている」と気づいた感覚です。
田中さんはその現実をごまかさず、正直に書いています。「サラリーマンのままでいることのリスク」ではなく、「サラリーマンでありながらも、どこに意識を向けるべきか」という視点で語ってくれているので、読んでいて責められている感じがしないのが良かったです。
気づき② 「継続」の質が圧倒的に違う人たち
「継続は力なり」という言葉は、誰もが知っています。でも、実際に毎日継続できている人がどれだけいるか、というと話は別です。
田中さんの動画やこの本を通じて感じたのは、億を稼いでいる人の「継続」は、私たちが想像するそれとはレベルが違う、ということでした。特別な才能があるわけでも、最初から恵まれた環境にいたわけでもない。ただ、「やると決めたことを、毎日続ける」という、ごく当たり前のことを、誰よりも長く、誰よりも真剣にやり続けているだけ、なのです。
田中さん自身も、毎朝の習慣や情報収集の継続を欠かさないという話をされていました。それも「やらなければならないから」ではなく、「それが自分の当たり前になっているから」という感じで。
これを読んで、私はちょっと恥ずかしくなりました。「三日坊主」という言葉が自分に刺さりすぎて(笑)。新しいことを始めても、気づくと一週間で止まっている。「継続できない自分」を当たり前だと思っていたけれど、そこにこそ大きな差があるんだと、改めて気づかされました。
継続とは、特別な才能ではなく「習慣の設計」の問題です。田中さんは継続を「仕組み化」することの大切さも触れています。やる気に頼らず、やる仕組みを作ってしまう。これは、サラリーマンとして毎日のルーティンをこなしている私たちにこそ、一番馴染みやすいアプローチだと思いました。
気づき③ 「億からの人」は、お金の使い方も違う
お金を稼ぐことに意識が向きがちですが、田中さんが強調するのは「お金の使い方」もマインドの差として表れる、ということです。
「億までの人」は、お金を消費することに使う。「億からの人」は、お金を自分への投資か、次の収益を生む仕組みに使う。この差は、収入が高い低いに関係なく、月収20万円の人でも30万円の人でも起きていることだと書かれていました。
私自身、ミニマリストとしてモノを増やさない生活をしているのですが、「買わない」ことと「正しく使う」ことは別物だと気づきました。買わないのは単に消費を減らしているだけで、何かに積極的に投資しているかというと……正直、そこは薄かったかもしれません。
田中さんは、自己投資・情報投資・時間投資の重要性を繰り返し語っています。特に「時間をお金で買う」という発想は、サラリーマンにとって一番取り入れやすい考え方かもしれません。時間外労働を増やすのではなく、時間を生み出す投資をする。その視点の転換が、長期的な差を生むのだと感じました。
今日からできること:まず「小さな継続」を1つ決める
この本を読んで、「よし、今すぐ投資を始めよう」「副業を立ち上げよう」という気持ちになるかというと、正直そこまでではありません。でも、それでいいと思っています。大切なのは、今日から何かひとつ、小さく継続することを決めることだと思いました。
たとえば、こういったことから始められます。
① 毎朝5分、経済ニュースを読む
お金の流れを知ることは、億を稼ぐ人と同じ情報を仕入れることから始まります。Yahoo!ニュースの経済カテゴリでも、日経電子版の無料記事でも、NewsPicksのトレンドでも、とにかく毎日5分だけ触れる習慣をつける。
② 今月の支出を「消費・投資・浪費」に分けてみる
田中さんの言う「お金の使い方の違い」を自分で確認するために、家計簿の代わりにこの3分類で支出を振り返ってみましょう。投資の比率が低ければ、そこを少し変えるだけで意識が変わります。
③ 読んだ本の気づきを1行だけメモする
インプットを定着させる一番シンプルな方法は、アウトプットです。本を読んだその日に、刺さった言葉を1行だけノートやスマホにメモする。それだけで、読書の質がぐっと上がります。
どれも「毎日5分以内」で終わることばかりです。でも、これを1年続けたとき、続けていない人との差はじわじわと開いていく。それが田中さんの言う「継続の複利」だと、私は理解しました。
まとめ:この本は、現状を否定せず「次の一歩」を照らしてくれる
『億までの人 億からの人』を読んで、「会社を辞めなければいけない」とは思いませんでした。「サラリーマンは負け組だ」とも感じませんでした。むしろ、「今の自分の立場を活かしながら、何を変えればいいか」が少しだけ見えた気がしました。
サラリーマンの生涯年収は確かに存在する。でも、それは「終わり」ではなく「出発点」だと田中さんは語ります。そこに気づいて、毎日の習慣と思考を少しずつ変えていくことが、10年後の自分を大きく変える。
YouTubeで田中渓さんの動画を見て気になっていた方、「サラリーマンの限界」を感じている方、「このまま働き続けていいのか?」と漠然とした不安がある方に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。難しいことは書いていません。でも、読み終えたあと、確かに何かが変わる本です。
まず1ページ目を開くことが、あなたの「継続」の始まりになるかもしれません。


コメント