「いくら貯金があれば、安心できるんだろう」
そう思ったことはありますか?給料日が近づくたびに残高を確認してため息をつく。貯金額が少しずつ増えていっても、なんとなく不安が消えない。周りの人が自分よりお金持ちに見えて、焦ってしまう。
サラリーマンをしていると、そういうお金のモヤモヤを感じる瞬間が、意外と頻繁にあります。昇給しても、ボーナスが入っても、なんだか「まだ足りない」という感覚がぬぐえない。今日は、そんな気持ちを解きほぐしてくれた一冊を紹介します。
この本との出会い
書店をぶらぶらしていたとき、目に飛び込んできたのが「あっという間にお金はなくなるから」というタイトルでした。
「あれ、この”あっという間に”って…前に読んだやつじゃないか?」
そうです。以前レビューした『あっという間に人は死ぬから 「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方』を読んでいた私にとって、このタイトルはすぐにピンときました。著者はサトマイさん(佐藤舞さん)。データサイエンティストとして「主観で語らず、統計で語る」スタンスで人生の本質を書いてきた方です。
「時間」の次は「お金」か——これは読まないわけにいかない、と即レジへ向かいました。
この本はひと言で言うと
「お金の不安の正体を解剖し、自分の資本を棚卸しする本」です。
節約術でも、投資入門でもありません。「なぜ私たちはお金が不安なのか」という根っこの部分を、心理学・統計・行動科学の視点で掘り下げていく内容です。
本書の構成はこうなっています。
- 第1章:「お金の不安」への4つの生理反応
- 第2章:世界にひそむ「お金の三大不安」とは
- 第3章:あなたの内に眠る10の「資本」を掘り起こす
- 第4章:相乗効果を生む「自分資本」の育て方
- 第5章:「怖いけれど、大丈夫」と思える勇気
前半は「なぜ不安になるのか」を分析し、後半は「では今何をすればいいか」という構造になっています。この流れが非常に読みやすく、読みながら自然と自分の状況に照らし合わせていました。
読んで気づいたこと・刺さったポイント
①「足りない病」の正体は感情の問題だった
不安の原因は「貯金額が少ない」からではなく、「比較」と「不確実性」から来ているのだと、本書は指摘します。
周りの人がどれくらい持っているか。老後にいくら必要か。給料が上がるかどうか。どれも「今の自分には見えない情報」と比べることで不安が生まれています。
これを読んで、ハッとしました。私が感じていた「なんとなく不安」は、数字の問題ではなかったんだと。いくら節約しても、いくら貯金が増えても、比較の枠組みが変わらない限り、不安は消えない。だから「いくら貯めれば安心?」という問いには、実は正解がないんです。
②「資本」はお金だけじゃない——10種類ある
本書でとくに印象に残ったのが「自分資本」の概念です。
多くの人は「資本=お金」と思いがちですが、著者はお金以外にも10種類の資本があると説きます。たとえば「健康資本」「人的資本(スキル・経験)」「社会資本(信頼・つながり)」「時間資本」などです。
これが刺さりました。私はミニマリスト的な生き方をしていて、モノを増やすことより経験や関係性を大切にしてきました。でも、それが「資本」という言葉で整理されたとき、初めて「あ、自分にはこんなに持っているものがあった」と気づけたんです。
会社での経験年数も、築いてきた人間関係も、健康な体も、全部資本だと言われると、なんだか少し気持ちが楽になりました。
③「今あるものを見る」という視点の転換
本書を読んでいちばん変わったのは、視点の方向です。
「何が足りないか」から「何が今あるか」へ。これだけで、同じ状況でもまったく違う感覚になります。
前作の『あっという間に人は死ぬから』でも、「時間の使い方」を根本から問い直す視点がありました。今作では同じ構造で「お金の見方」を問い直している。サトマイさんの一貫したメッセージが見えてきて、シリーズとして読むと効果が倍増します。
今日からできるアクション
本を読んで、実際に私が試みたのは「自分資本の棚卸し」です。紙に書き出すだけのシンプルな作業です。
- 健康資本:毎日ちゃんと寝ているか、身体は動かせているか
- 人的資本:今の仕事で身につけているスキルは何か
- 社会資本:困ったときに連絡できる人が何人いるか
- 時間資本:自分の裁量で使える時間はどれくらいあるか
こうして書き出してみると、意外と「自分、持ってるじゃないか」と思えてきます。お金だけを見ていたときには気づけなかった豊かさが、見え始めます。
難しい作業ではありません。ノートを開いて、10分あれば十分です。それだけで、焦りが少し和らぐはずです。
まとめ・感想
読む前の私は、「お金の本=節約・投資の話」だと思っていました。でもこの本は違いました。
お金の不安の根っこにあるのは、心理的なメカニズムと「持っていないもの」への執着です。その構造を知ったうえで「今自分が持っているもの」を棚卸しすることで、はじめて地に足のついた生活が見えてくる。
前作と同じく、読んだ後に「少しだけ、今日が変わる気がする」という感覚になりました。これがサトマイさんの本の魔力だと思います。
「老後の不安がぬぐえない」「頑張って働いているのに豊かになった感じがしない」という方に、特におすすめしたい一冊です。



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