お金を貯めることに一生懸命になっていて、ふと「あれ、でも何のために?」と思ったことはありませんか。
老後のために。いざというときのために。とにかく不安だから。
その気持ち、よくわかります。私もそうでした。でも最近、ちょっと考えが変わってきています。
きっかけは、昨日読んだ「定年後」の一節でした
昨日、楠木新さんの『定年後』についてブログに書きました。その中で特に印象に残ったのが、「死から逆算してみる」という考え方です。残り時間を意識することで、今の生き方が変わる──そういう話でした。
その記事を書き終えた後、本棚の隅にずっとしまってあった一冊が目に入りました。
ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』です。
以前一度読んだことがあって、「たしか面白かったな」という記憶はあったのですが、改めてページを開いてみると、昨日とはまた違った刺さり方をしました。
この本が言いたいことはシンプルです
「お金を残して死ぬのは、もったいない」
ひと言で言うとこれです。
著者のビル・パーキンスはアメリカのヘッジファンドマネージャーで、投資で大きな成功を収めた人物です。そんな人が「お金を貯めるな」と言っているのが、まず意外でした。
でも、彼の主張はこういうことです。どれだけお金を貯めても、あの世には持っていけない。そして、お金を使えば経験が生まれる。経験は記憶になる。記憶は一生あなたのそばにある。だから、お金を残して死ぬということは、得られたはずの経験を捨てているのと同じことだ、と。
これを読んで、「たしかに……」となりました。
読んで刺さった3つのポイント
1. 「記憶の配当」という考え方
本書で登場する「記憶の配当」という言葉が印象的でした。
たとえば、20代に友人と思い切って行ったバックパック旅行。当時は少し無謀に思えても、その記憶は30代、40代、50代になっても「あのとき楽しかったな」と思い返せる資産になる、というわけです。経験にお金を使えば、その後もずっと「配当」が入り続けるのです。
逆に言えば、今の楽しみをずっと「老後のため」と後回しにしていると、体が動かなくなってから「あのとき行っておけばよかった」と後悔する可能性がある。
ミニマリスト的な考え方で言えば、モノより経験にお金を使うほうが豊かになれる──これはまさにその考え方の延長線上にある気がして、すんなり腹落ちしました。
2. 「タイムバケット」で人生を設計する
本書には「タイムバケット」という考え方も出てきます。人生を10年ごとに区切って、「この時期に何をしたいか」をバケツに入れていくイメージです。
たとえば、「30代のうちにやりたいこと」「40代でしか楽しめないこと」を今のうちに考えておく。若くて体力のある時期にしかできないことは、その時期にしかできません。リタイア後に「山登りをしようと思っていたけど、膝が痛くて無理だった」というのは、ありがちな話です。
これを読んで、「今の自分のタイムバケットには何が入っているだろう」と考え込んでしまいました。仕事のことや義務はたくさんあっても、「やりたいこと」がすぐに出てこなかったのです。それ自体が、少し危うい気がしました。
3. 「生存閾値」を意識する
本書では「生存閾値」という言葉も登場します。生きていくために最低限必要なお金のラインのことです。
それを超えた分は、将来のためにただ蓄えておくのではなく、今の自分の経験や喜びのために使っていい──というメッセージです。「老後資金を貯めなきゃ」と焦るあまり、今を犠牲にしすぎていないか? という問いかけでもあります。
もちろん、貯蓄や備えを否定しているわけではありません。でも、貯め続けるだけの人生は、最終的に「自分のためにお金を使えなかった人生」になりかねない、という警告でもあります。
今日からできること
この本を読んで、すぐに実践したいと思ったことを3つ挙げてみます。
① 自分の「タイムバケット」を書き出してみる
紙でもメモアプリでもいいので、「30代のうちにやりたいこと」「この先3年でやりたいこと」を書いてみる。書いてみると、案外何も出てこないことに気づくかもしれない。それ自体が大事な発見です。
② 「いつかやろう」と思っていることを、今年の予定に入れる
旅行でも、友人との食事でも、習いたかったことでも。「いつか」は来ないと思って、カレンダーに入れてしまう。
③ 次に何か買うとき、「モノ」より「経験」を選んでみる
新しい家電を買う前に、そのお金で体験できることを一度考えてみる。記憶に残るほうを選ぶ意識を持つだけで、お金の使い方が変わってくると思います。
まとめ──貯めるだけじゃ、もったいない
『DIE WITH ZERO』は、「お金を使え」という本ではなく、「今の自分の人生を、ちゃんと楽しんでいるか」を問いかける本です。
昨日の「定年後」の話から続いて、改めて気づかされたのはこういうことです。未来の不安に備えることも大事。でも、今この瞬間の自分の時間も、同じくらい大事にしないといけない。
いつか楽しもうと思っていた旅行、いつか会おうと思っていた友人、いつかやろうと思っていたこと──それは、今の自分にしかできないことかもしれません。
定年後のことを考えるのは大事です。でも同時に、今日の自分も、ちゃんと楽しませてあげたいと思います。人生は、後回しにしていたら意外と短い。だからこそ、今の人生を楽しまないと、という気持ちになりました。


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