毎朝、会社へ向かう電車の中で、ふとこんな気持ちになったことはありませんか?「このまま続けていていいのだろうか」と。
4月ということもあり、キレイなスーツ姿の新入社員らしき姿がちらほら見える満員電車の中でふと周りを見渡してみると、そんなに明るい顔した人はいないよなと。YouTube界隈の人たちは仕事は楽しいという流派のひとも多いのになぜだろーと思いつつ、いやいや自分は現実逃避しちゃいけない。辞めてどうする!?辞めたら同僚が大変になるじゃないか!?通勤しているみんなもそれぞれの家庭のなかで、住宅ローン、子供の学費、将来不安もいっぱいある……。「辞めたい」という本音と「でも辞められない」という現実の間で、ただやり過ごしている日々が多く、そんな感覚を持ちながらサラリーマンを続けています。
そんな私の「辞めること」への考え方を、ガラッと変えてくれた一冊と出会いました。
この本との出会い
今回ご紹介するのは、鈴木おさむさんの『仕事の辞め方』(幻冬舎)です。
この本に出会ったきっかけは、少し前のブログでご紹介した田中渓さんの著書『億までの人 億からの人』でした。田中渓さんがYouTubeの対談動画に出演されていて、その中でこんなことをおっしゃっていたんです。「鈴木おさむさんのこの本を読んで、田中渓さんが退職を決意した」と。
ここで初めてそのことを知ったときの私の正直な気持ちとしては、「え、ゴールドマン・サックスを辞めるの?」と思いました。お金を稼ぐという観点でいえば、ゴールドマン・サックスに在籍し続けることが、おそらく最も合理的な選択のはずです。なのに、一冊の本がそれだけ大きな決断を後押しするほどの力を持っているとしたら……。これは読まずにはいられない、そう思って手に取った次第でした。
本の概要|32年間のキャリアに幕を下ろした放送作家の告白
著者の鈴木おさむさんは、32年間フリーランスの放送作家・脚本家として活躍してきた方です。「SMAP×SMAP」をはじめ、数々のヒット番組を手がけてきた業界の第一人者。そんな鈴木さんが2024年3月、51歳で放送作家を引退することを表明しました。
本書はその「なぜ辞めるのか」「どう辞めるのか」を包み隠さず書いた、リアルな退職ドキュメントです。一言でいうなら、「辞めることは逃げではない。むしろ、次の人生を生きるための最初の勇気だ」という本です。
読んで刺さったポイント3つ
①「自分がいなくても世界は回る」という事実を受け入れる
鈴木さんはこう言います。「仕事を辞めるときに必要なのは、自分がいなくても世界は回ると気づくことだ」と。
これ、サラリーマンをしていると、なかなか信じられないんですよね。自分が抜けたらプロジェクトが止まる、チームが困る、迷惑をかける……。でも鈴木さんの言葉でハッとしたのは、「それは自分を過大評価しているかもしれない」という視点です。会社は個人に依存するほど脆くない。そして自分も、会社に依存するほど弱くていいのか。そんな問いかけが胸に刺さりました。
②ワクワクしなくなったら、それはサインだ
32年間トップクリエイターとして活躍してきた鈴木さんでさえ、ある時期から「仕事でワクワクしなくなった」と正直に書いています。それを誤魔化さずに向き合ったからこそ、引退という決断ができた。
私自身、毎朝「今日も仕事か……」と思う瞬間が多いのは事実です。そのサインを「疲れているだけ」「誰でもこんなもの」と片付けてきましたが、もしかしたら自分の本音と向き合うべき時期なのかもしれない、とこの本を読んで感じました。感情の変化を見て見ぬふりすることが、一番の遠回りになるのかもしれません。
③「辞め方」こそ、その人の生き方を表す
鈴木さんは「辞め方は、その人の人間性が出る」と言います。引き継ぎをきちんとする、次の人が困らないように準備する、感謝を伝える。それをやり切ることで、辞めた後の新しいステージが始まる。
これはサラリーマンでも同じだと思います。丁寧な辞め方をすることで、人間関係は壊れず、むしろ新しいネットワークに変わっていく。「どう辞めるか」を考えることは「どう生きるか」を考えることだ、と気づかされました。ミニマリスト的に考えると、不要なものを手放すことで本当に大切なものが見えてくる——それは仕事においても同じなんだと実感しました。
今日からできるアクション3つ
この本を読んで、「これはやってみよう」と思ったことを3つ共有します。
1. 「ワクワクリスト」を書いてみる
今の仕事の中で、まだワクワクすることと、もうワクワクしないことを正直にリストアップしてみましょう。感情の棚卸しをするだけで、自分の本音が見えてきます。スマホのメモ帳でも、手帳でも、5分あればできます。
2. 「もし辞めたら何がしたいか」を一度真剣に考えてみる
辞めることを決める必要はありません。ただ、「もし辞めたら何をしたいか?」を具体的に書き出してみてください。それだけで、自分が今何に縛られているかが見えてきます。「やりたいことが思い浮かばない」という人も、それ自体が大切な気づきです。
3. 「丁寧な辞め方」を想定しておく
今すぐ辞めなくても、「もし丁寧に辞めるとしたら何が必要か」を考えておく。引き継ぎリスト、感謝を伝えたい人、整理すべきスキル……。準備があると、いざというときの選択肢が広がります。
まとめ|「辞める」は逃げではなく、次への第一歩
この本を読む前、「辞める」は「逃げる」と同義のように感じていました。でも読み終えた後、「辞める」は「次へ進む」ための選択肢のひとつだと、素直に思えるようになりました。
ゴールドマン・サックスのような高収入の仕事を辞める決断ができるほど、人の心を動かす本。その理由が、読んでよくわかりました。鈴木おさむさんは、自分自身の体験を通じて「辞めること」の怖さと、その向き合い方を、飾らずにリアルに書いてくれています。
転職を考えている人はもちろん、「このままでいいのか」とぼんやり感じているすべてのサラリーマンに読んでほしい一冊です。この本を読んだからといって全員が退職をしないといけないという本ではなく、考え方の気づきにつながると思うので、ぜひ手に取ってみてください。


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