先輩から届いた一冊が刺さった。『世界をアップデートする方法』と「無知の知」について

思考・読書

体調を崩したとき、だれかに気にかけてもらえると、それだけで少し楽になりますよね。私にも、そんな経験がありました。会社を離れた先輩から、ふとメッセージが届いたんです。「これ、読んでみて」と。

その本が、篠原信さんの『世界をアップデートする方法』でした。哲学・思想の本と聞いて、正直「難しそう」と思いました。しかし、読み始めると、予想と全然違いました。むしろ、体調を崩していた自分に、ちょうどよく刺さる内容でした。

この本が伝えること

ひと言で言うと、「哲学を通じて、世界の見方を変える」という本です。難しい専門用語を並べた本ではありません。むしろ、過去の思想家たちの考えを、実際に使える形で紹介してくれます。世界をアップデートしてきた哲学者たちの話です。

著者の篠原信さんは、農業研究者でもあります。そのため、「哲学を実際の問題に使う」という視点が根底にあります。つまり、読んで終わりではなく、「考える道具」として哲学を使う本なんです。

哲学と聞くと、「自分には関係ない」と思う方も多いかもしれません。しかし、この本を読んでわかったのは、哲学とは「よりよく考えるための方法」だということです。サラリーマンの私にも、十分すぎるくらい関係ありました。

刺さったポイント①:無知の知が出発点になる

この本を読んで、一番気づかされたのがソクラテスの「無知の知」という考え方です。「自分は何も知らないということを知っている」。有名な言葉ですが、改めて読んで、その重さに気づきました。

ソクラテスはなぜ「最も賢い人」と言われたのか。それは、自分が知らないことをちゃんと知っていたからです。つまり、「知らない」と自覚できることが、すでに知恵のはじまりだということです。

サラリーマンとして働いていると、「知らないこと」を恥だと思うクセがつきます。しかし、実際は逆です。「自分は何も知らない」と認めるところからしか、本当の学びは始まらない。そのことが、この本を通じてよくわかりました。

たとえば、体調を崩していたとき、私は自分の状態をうまく説明できませんでした。「なんとなくしんどい」としか表現できなかったんです。しかし、それは「自分のことをよく知らなかった」からかもしれません。「無知の知」は、自分自身に向けても使える言葉だと感じました。

また、この考え方は仕事の場でも使えます。会議で「わからない」と言える人は、実は強い人だと思います。なぜなら、そこから本当の対話が始まるからです。「知ったふり」をしたまま進んでしまうより、ずっといい。そう気づかせてくれました。

刺さったポイント②:世界は「問い」によってアップデートされる

タイトルにある「世界をアップデートする」という言葉が、最初はよくわかりませんでした。しかし、読み進めるうちに、意味が見えてきました。

世界は、誰かの「問い」によってアップデートされてきました。ソクラテスも、コペルニクスも、ダーウィンも。彼らはみんな、「当たり前」とされていたことに疑問を持った人たちです。そのため、この本は「問いを持つこと」の大切さを、繰り返し伝えています。

たとえば、コペルニクスが「地球が動いている」と言い始めたとき、まわりはみんな反対しました。「太陽が地球のまわりを回っている」のが常識だったからです。しかし、彼は「本当にそうか?」と問い続けました。その問いが、世界の見方を変えました。

また、その「問い」は特別な人だけが持てるものではない、とも言います。つまり、私たちのような普通のサラリーマンにも、世界を少しアップデートする可能性がある、ということです。この視点は、読んでいてとても励まされました。

ミニマリストとして生きていると、「本当に必要か?」と問う習慣が自然につきます。そのため、「問いを持つことの大切さ」は、もともと自分が大切にしていたことと重なりました。この本を通じて、改めてその確信が深まりました。

刺さったポイント③:会社を離れた先輩が、今も気にかけてくれる

この本を教えてくれた先輩は、もう同じ会社にはいません。しかし、定期的に連絡をくれます。体調を崩していたタイミングで届いたメッセージは、本の内容以上に、私に何かを教えてくれた気がします。

「人とのつながりは、肩書や所属ではない」ということです。先輩が会社にいなくても、気にかけてくれる。そのこと自体が、ミニマリストとして生きる自分にとっての大切な「本質」を示してくれていると感じました。

本の内容と先輩からのメッセージが重なって、「自分が大切にすべきもの」を改めて考えるきっかけになりました。モノは減らせても、人とのつながりは減らしてはいけない。そんなことを、静かに思いました。

今日からできるアクション

この本を読んで、私が試してみたことを3つ紹介します。

① 「なぜ?」を1日1回、声に出してみる
当たり前だと思っていることに「なぜ?」と問いかける習慣を始めました。たとえば、「なぜ私は毎朝同じルーティンをするのか」など、小さなことからで十分です。問いを持つことで、少しずつ考えが深まっていきます。

② 「わからない」を恥ずかしいと思わない
ソクラテスの「無知の知」を思い出して、「わからない」と言える場面を増やしました。むしろ、それが会話を深めることに気づきました。知ったふりをしていたときより、ずっと楽になりました。

③ 久しぶりの人に、ひと言連絡する
先輩のメッセージに影響を受けて、気になっていた人にLINEを送ってみました。つながりは、自分から動かないと薄れていきます。返信が来たとき、思ったより嬉しかったです。

こんな人に読んでほしい

この本は、以下のような方にとくにおすすめします。

  • 仕事や日常に「なんとなく行き詰まり感」がある人
  • 哲学に興味はあるけど、難しそうで手が出せなかった人
  • 体調を崩したり、立ち止まって考えたいタイミングにある人
  • 「自分が大切にすべきもの」を改めて問い直したい人

一方、「すぐに使えるノウハウが欲しい」という方には少し合わないかもしれません。ただ、この本自体が「問いの立て方」を教えてくれる本でもあります。そう捉えると、また違った読み方ができます。

ほかにも、本の感想をまとめた記事があります。よかったらあわせてどうぞ。

「生きる意味」は奪えない。SNSで話題の『夜と霧』を図書館で読んで考えたこと

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まとめ

体調を崩していたとき、先輩に教えてもらった一冊でした。「自分は何も知らない」というソクラテスの言葉が、今も頭の中に残っています。

知らないことを認めることが、学びの出発点になる。そして、問いを持つことで、少しずつ世界を変えていける。そんなことを、静かに教えてくれた本でした。

体調が落ち着いたとき、また読み返したいと思っています。

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