「今年こそ英語を頑張ろう」と決意しては、参考書を買っただけで満足してしまう。そんな経験がある人は、意外と多いのではないでしょうか。私も過去に何度となく英会話アプリや単語帳に手を伸ばしては、三日坊主で終わらせてきたサラリーマンのひとりです。そんな中、Amazonの本ランキングで目に留まったのが「100日後に英語がものになる1日10分 ネイティブ英語書き写し」(ブレット・リンゼイ著、サンマーク出版)でした。タイトルからして、英語の書き写しという行為そのものをテーマにした一冊だとわかります。今日はこの本を、ミニマリスト視点で読み解いてみたいと思います。
本の概要 ―「英語の書き写し」で身につける学習法
本書はその名の通り、英文を手で書き写すことで身につける、書き込み式の英語学習本です。左のページに英文が印刷されていて、右のページに同じ文章を書き写していく。たったそれだけの、シンプルな構成になっています。
著者のブレット・リンゼイ氏は、台湾で長年英語を教えてきたネイティブ講師です。自身も「書く」ことで中国語を習得した経験から、この学習法にたどり着いたといいます。1日1話、10分程度で終わる分量に区切られているため、続けやすさが最優先に設計されています。なお、ネイティブ音声も付いており、聞く・読む・書くを同時に行える点も特徴です。
Amazonのレビューでは「まさに書く瞑想」「毎日続けられる」といった声がある一方、「中学英語レベルには難しい」「タイトルほどの即効性は感じない」という指摘も見られます。つまり、万能な英語習得法というより、続けること自体を目的にした一冊だと捉えるのが実情に近いようです。
ミニマリスト視点で気づいたこと
1. 道具をひとつに絞ると、迷いが消える
ミニマリストの暮らしでは、モノを減らすこと以上に「選択肢を減らす」ことが重要だと感じています。本書も同じで、参考書・単語帳・アプリを何個も併用するのではなく、1冊のノートに英語を書き写すという行為だけに絞り込まれています。
私自身、以前は英会話アプリ、単語帳、YouTube教材と手を広げすぎて、結局どれも中途半端に終わった経験があります。モノを増やすほど選ぶ労力が増え、続ける前に疲れてしまうものです。これは学びに限らず、部屋の片付けにも通じる感覚だと思います。クローゼットの服を1着に絞れない人が片付けに苦戦するのと同じように、教材を1冊に絞れない人ほど、実は続かないのかもしれません。
2. ゴールを「完璧」ではなく「反復」に置く
本書のもうひとつの特徴は、100日という区切りと、1日10分という小さなノルマです。「英語が話せるようになる」という大きすぎる目標ではなく、「今日の1ページを書き写す」という小さな行為に焦点が当てられています。
ミニマリズムも、一気に部屋を片付けようとすると挫折しがちです。むしろ「今日は引き出し1つだけ」と決めたほうが、結果的に続きます。本書の設計思想は、片付けでよく言われる「1日1捨て」の考え方に、非常に近いものを感じました。完璧を目指さず、反復を積み重ねる。それが結果的に、遠回りに見えて一番の近道になるのだと思います。
3. デジタルではなく、あえて紙とペンを選ぶ潔さ
スマホひとつで何でもできる時代に、あえて紙のノートに手で書き写すという選択にも、ミニマリズムと重なる部分があります。通知も広告も表示されない、ただ英文とノートだけの空間。情報を減らすことで、逆に集中できる時間が生まれるという逆説は、デジタルデトックスの考え方そのものです。
もちろん、アプリで隙間時間に学ぶ効率の良さも否定できません。ただし「集中する10分」を確保したい人には、あえてアナログを選ぶという発想も、ひとつの選択肢としてありだと感じました。
今日からできる、英語の書き写し習慣化のアクション
- 使っていない英語学習アプリや参考書を1つ、思い切って削除・処分してみる
- 手持ちのノートとペンで、好きな英文を1文だけ書き写してみる(本書がなくても今日から試せます)
- 「今日はここまで」と区切りを決めてから始める。終わりが見えると、続けやすくなります
まとめ
「100日後に英語がものになる」というタイトルは、正直やや強気に感じる部分もあります。中学英語に不安がある人にはやや難易度が高いという声もあり、万人向けの魔法の本ではありません。それでも、道具を絞り、ゴールを小さく区切るという設計思想は、英語学習に限らず、続けることに悩むすべての人にとってヒントになるはずです。
「続けられない」のは意志が弱いからではなく、選択肢が多すぎるだけなのかもしれません。教材を1冊に、行為をひとつに絞ってみる。それだけで、案外物事は続いていくのではないでしょうか。旅にせよ学びにせよ、まずは1歩を踏み出すことが大切だと、以前沢木耕太郎『深夜特急』のレビューでも書きました。また、限られた時間をどう使うかという視点では、70代を軽やかに生きるミニマリズムを考察した記事もあわせて読んでみてください。







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