頼まれた仕事は断れない。引き受けたからには最後までやり遂げたい。そう思って働いているうちに、気づけば自分のキャパシティを超えていた——。サラリーマンとして働いていると、そんな瞬間が誰にでも一度はあるのではないでしょうか。
今回は、Amazonの本ランキングに登場した「税務署員うつうつ日記――税務署一筋30年、徴収・窓口・税務調査、激務でうつになりました」という一冊をきっかけに、仕事を手放すというテーマをミニマリストの視点から考えてみたいと思います。
本の概要
本書は、現役の国税専門官である大蔵主税さんが、税務署員として30年以上働くなかで経験した出来事を日記形式でつづったエッセイです。徴収部門や法人課税部門、窓口業務など、さまざまな現場を渡り歩いてきた著者は、30代でうつ病を発症し、2度の休職を経験しています。
目次を見ると、「税務署員、冷や汗の日々」「税務調査の内幕」「うつと税務署」「やめるか、まだ続けるか」という4章構成になっています。つまり、単なる職場の暴露エッセイではなく、真面目に働き続けた末に心が壊れていく過程と、そこからどう向き合い直したかが描かれているようです。
読者レビューでも「明日は我が身」「仕事がつらい方にもおすすめ」といった、業種を問わず共感する声が多く寄せられています。税務署という特殊な職場を舞台にしていながら、そこにあるのはどんな仕事にも通じる普遍的なテーマのようです。
ミニマリスト視点での考察① ”抱え込む”ことは、モノにも仕事にも共通する
ミニマリストの生き方の基本は、「本当に必要なものだけを持つ」ことです。ただし、これは物理的なモノに限った話ではありません。仕事や責任感についても、同じことが言えるのではないでしょうか。
読者レビューを読むと、著者は「ネズミを捕れない猫」と評されながらも、真面目さゆえに仕事を抱え込み続けたことがうかがえます。断れない、頼まれたら最後までやりきりたい。そうした誠実さは美徳である一方、キャパシティを超えて積み上がると、心の余白を奪っていきます。
ミニマリズムとは、モノを減らす技術である以上に、「何を持たないか」を決める技術です。仕事においても、すべてを自分で背負う必要はない。この本のテーマは、そんな視点の大切さを教えてくれます。
ミニマリスト視点での考察② ”書く”という手放し方
本書の著者は、あとがきで執筆そのものを「癒し」と表現しているようです。つまり、心の中に溜め込んだ感情や経験を文字にして外に出すこと自体が、一種の手放す行為だったといえます。
ミニマリストの暮らしでは、不要なモノを手放すことで部屋に余白が生まれ、思考がクリアになるという感覚がよく語られます。それと同じように、頭の中に溜まった不安やストレスも、書き出す・話す・記録するといった形で外に出すことで、心に余白ができるのかもしれません。
たとえば、特別な日記アプリやノートを新しく持たなくても、スマートフォンのメモ機能ひとつで今日から始められます。むしろ、道具を増やさずに始められる手放し方だからこそ、続けやすいのではないでしょうか。
ミニマリスト視点での考察③ ”辞める”という選択肢を持っておく
レビューによれば、著者はこの本の出版をきっかけに退職を決意したとされています。長年勤めた職場であっても、心と体を壊してまで続ける必要はない。そう思えるかどうかは、普段から「今の環境に固執しすぎていないか」を自分に問えているかどうかにかかっています。
ミニマリストが「いつでも手放せる身軽さ」を大事にするのは、モノだけでなく、環境や役割にも当てはまります。もちろん、簡単に辞められる仕事ばかりではありません。ただ、選択肢として持っておくだけでも、心の負担はずいぶん軽くなるはずです。
今日からできるアクション
- 抱えている仕事やタスクを紙に書き出し、「本当に自分がやるべきものか」を1つずつ確認する
- 週に一度、頭の中のモヤモヤをスマホのメモに5分だけ書き出す時間をつくる
- 「これは自分でなくてもいい」と思える仕事があれば、思い切って手放す・任せる練習をしてみる
まとめ
「税務署員うつうつ日記」は、税務署という特殊な職場を舞台にしていますが、そこに描かれているのは業種を問わない普遍的なテーマです。真面目に働くほど、仕事を抱え込んでしまう。ミニマリズムの視点で見れば、それは仕事を手放す練習が足りていないサインなのかもしれません。
モノを減らすように、仕事や責任感にも余白をつくってみる。今日からできる小さな一歩として、まずは頭の中を書き出すことから始めてみませんか。
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